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CEOに求められる利害関係者分析

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Stakeholder Analysis」を翻訳したものです。


私は物事をあらゆる角度から見て、異なる立場の人々がそれぞれどのように考えているのかを理解するのが好きです。

近所にある学校のことを考えてみてください。生徒、保護者、教員、事務員、教員以外の職員、納税者、地域コミュニティ、住宅所有者(学校のレベルによって家屋の物件価値が影響を受けます)といった利害関係者がいます。またその他にも利害関係者がいるかもしれません。

理論上、それら利害関係者の誰もが学校の成功に関心を持っています。けれど現実には、お互いの間に対立が生じることが多いのです。

例えば、教員たちは間違いなく給料引き上げを歓迎するでしょう。しかし、納税者はそうでないかもしれません。あるいは、学校のレベルを維持することで近隣住宅の価値が上がるので、賛同するかもしれません。

学校が始業時間と終業時間を遅くしたい場合にはどうでしょう?保護者たちは、朝の通勤時間に影響するという理由でそれに反対するかもしれません。けれど教師たち、事務職員たち、そして教員以外の職員たちは、朝の通勤が楽になるためにこれに賛成するかもしれません。

あらゆる複雑系には、数多くの関係者が存在します。その全員が自らの利害が絡んだ組織の成功を望む一方、彼らにとっての成功が同じものを指すことは稀なのです。

利害関係者分析は、企業の経営および管理(役員の業務)に大変役立ちます。

そして企業の利害関係者とは、株主だけではありません。役員や経営者が株主の利益を最優先する任務を負っているときでさえ、あらゆる利害関係者の利益を考慮して動くのが賢く堅実なやり方です。

けれども利害関係者間の衝突によって、そのように計らうことが不可能なこともあるのです。

適切に実施された利害関係者分析というのは、利害関係者全員がそれぞれ何を望み、重要な決定によりそれぞれどのように影響を受けるかを特定しようとするものです。スコアカードのようなものです。短期的、中期的、長期的な影響を見るのにしばしば役立ちます。

利益の不一致は、短期で見た場合に最も際立っていることが多いと私は思います。とても長い期間を見据えて決定事項の実施とその成果を位置づけることができれば、足並みをそろえることは容易になりやすいのです。

しかし足並みをそろえられるか否かに関わらず、CEOは行動しなければいけません。求められるのは、断固たる振る舞いです。そして役員会は、CEOが賢く、また株主とそのほかの利害関係者の利益最大化のために行動できているのか確かめなければいけません。

そのため利害関係者分析では、問題の発生箇所がどこなのか、どこになり得るのかを理解し、そして十分な情報を得た上での意思決定を行うことが最善策です。さらに、決定事項の望ましくない副次的影響を可能な限り緩和するコミュニケーション計画が必要になるでしょう。

利害関係者を驚かせることも、彼らに驚かせられることも、避けるようにしなければなりません。彼らはあなたに好意を持っていないかもしれませんし、あなたの意見に同意しないかもしれませんし、あるいはあなたを支持することさえしないかもしれません。けれども彼らは、あなたの意思決定プロセスの中で理解され、尊重され、考慮されるべき人たちなのです。

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