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ニーズが顕在化していない二面市場への投資事例:投資判断の舞台裏(7)

Coral Capitalで出資したスタートアップについて、その出資判断の背後にあるロジックを紹介する「投資判断の舞台裏」シリーズ。毎月投資を検討する300〜400社のうち、実際に投資させていただくスタートアップは1、2社ですが、どういう理由があるのかを紹介します。

第7回はニーズが顕在化していない二面市場で、マッチングプラットフォームを提供する4社についてです。

強烈なネットワーク外部性が働くビジネスモデル

二面市場(two-sided platform)とは、メルカリにおける「売りたい人」「買いたい人」や、Airbnbの「泊まりたい人」「泊めたい人(稼ぎたい)」のように異なる2種類の参加者を結び付ける市場やサービスを指します。いったん参加者が一定レベルを超えると強烈なネットワーク外部性が働くことと、ユーザー数の増加分ほどにはオペレーションコストが上がらないスケーラビリティーから、ベンチャーキャピタル支援によるスタートアップが多く生まれるビジネスモデルの1つです。

書籍や自動車が典型ですが、インターネット以前から中古売買市場が確立していて、大規模プレイヤーが存在しているような二面市場がある一方で、インターネットによって初めて実現可能になる領域もあります。

「Coral Capitalが出資したZehitomo、テナンタ、Bizpa、KURASERUの4社は、どれも二面市場を提供するスタートアップで、それぞれローカルビジネス市場、店舗物件市場、オフライン広告市場、介護施設マッチングを提供しています。もともと市場があって取引も行われているのですが、大きな非効率が存在していたのが特徴です」

Coral Capital創業パートナーの澤山陽平は、そう指摘します。例えば、先日シリーズBの8億2,000万円の追加資金調達を実施したZehitomoは、カメラマン、ヨガ講師、リフォームの工事事業者など様々な「プロ」と、その依頼者をつなぐプラットフォームです。地域性が高く、個人事業主も多いこうしたサービスはこれまで、依頼者がサービス提供者を発見するには地域名とサービス名で検索するくらいしか方法がありませんでした。Zehitomoは単に発見しやすくするだけでなく、依頼者が仕事の条件を指定すると、自分の条件に合う事業者から直接見積もりを受け取ることができる機能を提供しています。

テナンタは、店舗物件を探している企業と、物件のマッチングプラットフォームです。これまで外食企業などが物件を探す際に、不動産業者に頻繁に電話したり、現地の不動産屋を訪ねたりするしか方法がありませんでした。テナンタでは、ほしい物件条件を登録することで、多数の不動産業者に効率的に認知され、条件にあった物件紹介をもらえる機能を提供しています。

Bizpaは高速道路脇やビル屋上の看板、駅構内のデジタルサイネージ、地方のフリーペーパーの広告スペースなど、オフライン広告のプラットフォームです。従来は広告を出したい出稿側が能動的に探したり、見積もりや価格表を取り寄せるなどする必要がありました。Bizpaはネット上でオフライン広告を集約することで業界全体の効率化を進めるものです。

KURASERUは在宅療養が困難な患者の退院時に、介護施設をマッチングするサービス。従来は医療ソーシャルワーカーと呼ばれる専門職の方々が各施設に空き情報の問い合わせなどの上で退院調整を行っていました。その業務負担を軽減するサービスをKURASERUでは提供しています。これも患者と施設という2グループのマッチングを行う二面市場の例です。

立ち上げに必要な「カギ」について深い洞察を持っていること

上記4社への出資を決めた背景には共通した点があった、と澤山は語ります。

「これらのスタートアップがサービスを提供する以前は、みな電話やファクス、または足で探すなどしてきたわけですが、それを当り前に感じていたという特徴があります。つまりニーズは事前に顕在化していなかったのです」

「創業者たちはそれぞれの市場のダイナミクスについて深い洞察を持っていました。鶏卵問題を解決するために、二面市場のどちら側のグループを最初に引き込むべきかといったことをはじめとして、より引き込むのが難しいのはどちら側で、どうすればプラットフォームを利用してくれるようになるのか、その方法について、検証すべき仮説や、あるいは一定程度すでに検証済みの方法論とユーザー基盤を持っていたのが特徴です」

メルカリであれば商品点数が揃わないことには買う側は魅力を感じません。ですから、中古売買市場では一般に、スタート時点で「売る側のユーザー」をいかに多数集められるかがカギになります。同様に、それぞれの二面市場では初期に重要性が高いユーザー層がいるものです。これは事業領域ごとの個別性が高く、例えばKURASERU創業者の川原大樹氏のように自ら医療ソーシャルワーカーとして勤務した経験があるケースなど、深い理解があって初めて突破口を見いだせることもあります。今回、澤山が指摘するのは、そうした突破口や、突破後の成長に必要なKSF(Key Success Factor)についての仮説に充分な強度を感じる場合に投資の意思決定をしてきたという背景です。

今はまだ顕在化していないものの、オンラインに集約して可視化や効率化を進めるべき二面市場は、まだ他にも多くあることでしょう。ほかの人に知り得ない洞察をお持ちで、そうした市場の改革をお考えの方はぜひ、こちらのフォームよりご連絡ください。

BizpaKURASERUZehitomoテナンタ投資判断の舞台裏投資基準

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