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バリュエーション交渉

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Haggling」を翻訳したものです。英語の動詞「haggle」には値切るとか、売り手と買い手が価格交渉するという意味があります。


まだ子供だった頃、提示された金額が支払う価格だと思っていました。その額を支払うか、支払わないかしか選択肢はないと思っていたのです。

それから成長し、妻や仲間たちとつるむようになって、ビジネスの世界に足を踏み入れると、提示された金額ではなく、支払いに同意した金額がものの価格であると学びました。

80年代半ば、私がベンチャーキャピタリストとして働き始めた頃、投資家の方からバリュエーションの交渉を始めるのが普通でした。起業家が来てピッチし、投資家が内容を気に入れば、オファーを出すという流れです。

それが今は大きく変わっています。VCの門をくぐる起業家の頭の中にはすでに希望のバリュエーションがあります。VCの投資家の中には、その希望バリュエーションを、私が子供の頃に考えていた価格のように扱う人たちも結構います。つまり、その金額で合意して投資するか、パスするかの選択肢しかないように考えているのです。

これはVC市場が流動性が高く、買い手がたくさんいるからです。投資家は、自分たちがその希望バリュエーションに応じなくても他の誰かが応じることを理解しています。なので、「条件を飲むか、やめるか」のディールように扱うのです。

ただ、私はこのような考え方はあまり好きではありません。私は提示されたバリュエーションについて話し合いたいと思っています。例えば、起業家に「会社の20%で1,000万ドルの資金調達を考えている」と言われたなら、私は「20%で600万ドルの出資を検討したいと考えています」と答えて、バリュエーションの話し合いをしたいと思っています。

もちろん毎回うまくいくわけではありません。起業家の多くは「すでに、この条件のタームシートを持っているので」といったことを言います。これは「条件を飲むか、やめるか」だと言っているのと基本的に同じです。

しかし、そのような状況でも、お互いに一緒に仕事をしたいと思っているのであれば、交渉の余地があることを私は経験上知っています。

大切なのは、相手に敬意を持って、正直に話し合いを進めることです。バリュエーションの話題はなるべく早く持ち出す方が良いでしょう。最悪なのは、投資家側がバリュエーションに合意していないのに、すでに合意があると思わせて起業家に出資のプロセスに付き合わせてしまうことです。

交渉は、どんな仕事上の取引においても重要な要素です。交渉の過程でお互いについて様々なことが分かります。それはお互いを理解し、一緒に仕事をしたいかどうかを決めるのに役立ちます。私は誰もが交渉する機会を模索し、前向きに話し合うことをお勧めします。交渉せずに契約してしまうのは、機会を逃しているように私には思えるのです。

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Editorial Team / 編集部

Coral Capital

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