コロナ禍の医療スタートアップが「クリニックの無駄」をなくすためにやっていること

Articles
Written by 増田 覚
Share
Copy URL
Copied!

Coral Capitalは6月、出資先7社のプロダクトマネージャー(PdM)が抱える課題を赤裸々に語るトークイベントを開催。現役もしくは今後PdMへの転身を考えている人など約150人が参加し、登壇者が語るリアルな実情に耳を傾けました。

本記事では、CAPS株式会社の金谷義久氏による、「未来につなぐコロナ禍の医療プロダクト」と題したライトニングトークの内容をお伝えします。

金谷 義久(CAPS株式会社:取締役最高執行責任者)リアルワールドにてクラウドソーシング黎明期に事業開発を担当。クラウドワーカーの認知拡大と作業アウトプットクオリティの向上、働き方改革を推進。その後、「ひとがより健康で豊かな生活をおくるために」、働き方の多様化や健康経営という観点から、予防医療、セルフメディケーションといった個人の意識変革の必要性、ヘルスケアと医療の両輪での社会変革が不可欠であると感じ、2017年7月にCAPSへジョインーー、現在は全事業部門を統括。

CAPSグループには「医療法人社団ナイズ」と「CAPS株式会社」の2つの法人があり、医療法人は医療行為を、株式会社ではヘルスケア、企業向けに健康経営の支援、医療法人のサポートを行っています。2012年4月に創業し、社員数は250人ほどです。

クリニックはコロナ禍で多忙も売上は苦戦

さて、コロナ禍で医療業界がどうなったかといいますと、忙しくなったんですけれども、来院数が激減したんですね。来院数が減るということは、売上が減るということになります。

(下のグラフの)緑色の線が2020年度の来院数です。10月だけはインフルエンザの予防接種で跳ねましたが、一時的なもので医療業界にとっては苦しい1年でした。

私たちが作る医療のプロダクトは、厚生労働省や自治体の方針に影響されるのですが、コロナ禍では毎日のように膨大な通達が発表されていました。

新しい施策だったり、臨時的な規制緩和だったり、私たちにとってはいいことではあるんですが、その数がとにかく多く、変更の連続でした。

通達について関係各所へ問い合わせても「その内容の詳細はまだ決まっていないのですよね……」と言われることもあり、担当者の方と「お互い大変ですよね……」みたいな話をしながらプロダクトを作っていった1年でした。

オンライン診療をめぐっては、過去に規制がかなり多かったのですが、コロナ禍で臨時的に解禁されることが増えてきました。

最近ではCoral Capitalと連携して、Coral Capitalの投資先スタートアップ企業に向けたワクチンの職域接種も実施しています。

私たちが手がけている医療プロダクトは、医療法人向けのクリニックの運営システム、法人向けの健康経営支援システム、個人向けのフィットネス・ヘルスケアシステムの3つがあります。

今日は医療法人向けのプロダクトにフォーカスしてお話します。

CAPSグループは、「キャップスクリニック」を関東9拠点(2021年06月時点、2021年08月現在は11拠点)で展開していて、年間20万人以上が来院しています。今年は4拠点を増やし、来院数は30万人以上を想定しています。

私たちはこれらのクリニック向けに、クラウド電子カルテやオンライン予約・問診システムなどを可能にする「クリニックインフォメーションシステム」(以後、CIS)という独自のプロダクトを提供しています。

一般的なクリニックでは予約して来院、受付を済ませると、紙の問診票を渡されて病状や病歴を記入します。それから診察を受け、会計後に薬局で薬をもらう流れになっています。

私たちはこれらのユーザー体験のすべてを最良にすることを目指してCISを開発しています。

テクノロジーで「クリニックの待ち時間」を減らす

CISは患者さま、およびクリニックのスタッフ双方にとって利便性が高く、効率的なオペレーションを推進するためのシステムです。

電子カルテも自社で作っていますが、それ以外の工程もシステム化しています。

患者さまに向けては、来院後にいくつかある「待ちポイント」を減らすために、問診はiPadで行い、入力結果が即時で電子カルテに送られます。また、専用のウェブページから事前に予約、問診を行うことで、スムーズに受診してもらえようになっています。

みなさんも経験しているかもしれませんが、診察と同時に「今日はどうされましたか?」と言われたことはありませんか? でもそれって「受付でも聞かれたんだけど……」とか「問診で紙に書いたんだけど……」みたいなことがあるので、そういった工程をなくすことで待ち時間を減らせると思っています。

また、クリニックの受付スタッフが患者さんからよく聞かれるのが、「あとどれぐらい待ちますか?」という質問です。ベテランのスタッフでしたら感覚値で答えられることもありますが、それらの待ち時間もシステムで制御してます。

ドクターが困るのが、患者さまが記入した問診内容がいまいち的を射ていないケースです。そうした場合には患者さまに追加でヒアリングしたり、カルテの登録に時間を割かなければならなかったりするので、結果として患者さまとの対応時間が短くなってしまいます。こうした無駄は、ウェブ問診や電子カルテを活用すれば削減できると考えています。

そのほかにも、院内の状況を可視化することで、どの待合室にどれくらいの患者さまが待っているのか、どの先生がどの診察室でどんな対応をしているのか、といったことが視覚的にわかるようになっています。

最終的にCISは、院内のシステムにとどまらず、色々な企業や薬局と組み合わせながら成長させていきます。これらはすべてが、「ユーザー体験のすべてを最良にする」というCISの目指すところにつながっています。

CAPSグループは急成長期に入っていて、収益性も向上しました。これまでお話したように、多岐にわたるシステムがあるのですが、実はこれらをすべて刷新しようとしています。

今はPHPで動いているんですが、Go言語とTypeScriptに刷新しているところでして、プロダクト人材が圧倒的に足りません。エンジニアもデザイナーもPdMを募集しているので、ぜひ興味のある方はお願いいたします。


【プロダクトマネージャーが抱える課題トーク、全記事一覧】

New call-to-action
BACK TO LIST BACK TO LIST

Related Articles

Show All