日本最大のスタートアップ・セカンダリー──General AtlanticとSmartHRのパートナーシップ

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Written by James Riney
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本日、私たちは、グロースステージの投資で世界的な実績を持つGeneral Atlanticとのパートナーシップを発表します。この提携は、General Atlanticが当社保有のSmartHR株を約150億円で取得したことで実現しました。

General Atlanticは、Airbnb、Bytedance、Slack、Klarna、Duolingoなど、世界的なカテゴリーリーダーを支援してきた投資会社です。SmartHRがこの先も驚異的な成長を続けていく中で、世界トップクラスの投資家を株主として迎えられることを、私たちは非常に光栄に思います。

今回の取引は日本のスタートアップ史上、単一の売り手によるセカンダリー取引(既存株主による株式譲渡)としては過去最大規模です。この売却により、私たちは2017年にSmartHR向けに設立したSPVにおいて、現時点ですでに投資額の6倍以上をLP投資家にお返ししたことになりました。

特筆すべきは、今回の売却後も、CoralはSmartHR株の持ち分の約半分を保持していることです。今後も主要株主として関わり続け、これからの成長にも強い確信を持っています。

では、なぜ一部を売却するのか?

通常であればこのようなことを公に語ることはありません。しかし、SmartHRの創業者である宮田昇始さんが、日本におけるセカンダリー取引を促進するためにNstockという会社を立ち上げたこともあり、今回はケーススタディとして広く共有する意義があると考えています。

米国では、この規模のセカンダリー取引はごく一般的です。スタートアップが未公開市場でより大きな資金調達を重ね、上場を先送りにするようになったことで、資金の循環構造が大きく変化しました。セカンダリーマーケットは、初期投資家に流動性をもたらすだけでなく、企業が新たな株主を迎えて次の成長ステージへ進むための重要な仕組みとして機能しています。

たとえば、最近ではOpenAIが5,000億ドルの評価で66億ドルのセカンダリー取引を実施しました。Stripeも今年初めに同様の取引を行いSpaceXも昨年末に約12.5億ドル規模の取引を実施しています。

Jefferies証券によると、2024年の世界のセカンダリーマーケット取引総額は1,620億ドルに達しました。また、ある推計では、2024年のVCエグジットの約70%がセカンダリーによるものだったとも言われています。セカンダリー取引は今や、スタートアップエコシステムに不可欠な要素となっています。

一方、日本はまだその初期段階にあります。スタートアップがより多くの資金を調達し、非上場のまま長く成長するようになったことで、セカンダリーの必要性は急速に高まっています。この流れが続けば、今後は同様の取引がさらに増えていくことになるでしょう。

幸運にも10年近くにわたり一つの事業に投資家として深く関わり、この規模まで至るのを見届けた者にとって、今回のような取引は突き詰めて言えばリスクマネジメントに尽きるものです。私たちは初期投資以来、幸運にもSmartHRの大きな価値上昇に恵まれました。その結果、ファーム全体の資産の中でこの一社が非常に大きなウェイトを占めるまでになっていたのです。

将来の成長にどれほど確信を持っていても、リスクを管理することは理にかなっています。今回の売却によって、SmartHR向けに設立したSPVは現時点で6倍以上のリターンを実現しながらも、当社がこれまで保有していたSmartHR株のおよそ半分を引き続き保有し、これからの成長も共に享受できる立場を維持しています。

これは関係者全員にとって素晴らしい結果ですが、喜びと寂しさが入り混じる決断でした。SmartHRは私たちにとって特別な存在です。Coralの名を広く知らしめた、最初の大きな成功でした。2017年、私たちは日本初の試みとしてSmartHRのシリーズBにのみ投資をするターゲットファンド(SPV)を組成し、同社にオールインしました。私たちはSmartHRに賭けましたが、同時にSmartHRチームも私たちに賭けてくれたのです。この感謝の気持ちは、言葉では言い尽くせません。

この決断をさらに難しくしたのは、SmartHRが今も世界基準で見ても傑出したパフォーマンスを発揮していることです。この規模になっても、同社の数字は他の多くの日本のソフトウェア企業を圧倒しています。世界中の投資家と話をしても、「SmartHRチームほど優れたチームは日本では他にない」と繰り返し耳にします。

General Atlanticとの今回の取引は、単なる株式譲渡ではなく、パートナーシップです。これは、日本のスタートアップエコシステムとグローバル資本を結ぶ架け橋であり、日本が築き上げてきた道のり、そして世界的な投資家と国内のトップランナーたちが協働することで、さらなる高みへ到達できる可能性を象徴する出来事でもあります。

私たちはこの旅路の一部を担えたことを誇りに思い、これから始まる新しい章を、心から楽しみにしています。

SmartHRの創業者チーム、経営陣、General Atlantic、そして私たちを信じ、このマイルストーンを共に実現してくれたLPの皆さまに、心から感謝を申し上げます。

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