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投資家に会ったら、フォローアップしないのはもったいない

私は、大体2ヶ月毎に、Coralの投資先起業家向けに資金調達に関する勉強会を開催しています。勉強会の目的は、実際に資金調達しなければならないタイミングよりも前に、資金調達のベストプラクティスを学んでもらうことです。勉強会でカバーするテーマは大まかに言うと、投資家との関係の構築、ベストプラクティスの展開やフォローアップの方法、交渉とクロージングです。

勉強会の詳細は、Coral Capitalの起業家にしか原則公開していませんが、今回は、ミーティング後にすべきフォローアップについて少し書いてみようと思います。シリコンバレー、東南アジアと日本で投資をしてきましたが、経験上、日本の起業家がもう少し注力しても良いと思っている分野がミーティング後のフォローアップです。日本の起業家は、他国の起業家と比べてミーティング後のフォローアップの頻度が少なく、その効果も弱い気がします。控えめで謙虚な日本人の文化的な要素もその一因かもしれませんが、起業家として資金調達を行う日本語でのノウハウが不足しているのも要因だと思っています。

どんな状況でも、資金調達を成功させるために起業家が変えることのできる、最も大きなインパクトのあることは、資金調達プロセスを営業だと考える事です。どの営業プロセスもそうであるように、初めてのミーティング後にフォローアップする事が距離を縮める最も効果的な方法です。

フォローアップの重要性を理解するには、投資家のあなたへの興味が、時間と共に半減する事を理解すると良いかもしれません。投資家のあなたへの興味は、対面した直後がピークです。そこから、普段通りの1週間を過ごすうちに、つまり、他の起業家とミーティングしたり、取締役会に参加し、様々な電子メールに返信し、場合によっては自身が資金調達活動をしたりしているうちに、あなたの現実歪曲フィールドはどんどん弱まっていきます。

縦軸:あなたへの興味 横軸:時間

しかし、そこでフォローアップをすれば、再び化学反応を再燃させ、一時的ではありますが自分に興味を持ってもらえる時間を長引かせることができます。そもそも、なぜ自分に興味を持ってもらえたのか、ということを、本人に思い出してもらうのです。そうすれば、あなたへの興味が薄れる時間的経過はこうなります。

縦軸:あなたへの興味 横軸:時間

とは言え、単に「もう決断してもらえましたか?」というフォローアップは決して効果的ではありません。何もしないよりはマシかもしれませんが、より効果的にフォローアップする方法があります。フォローする度に、決断を促すような新しい情報を与えると効果的です。例えば、

  • 大型顧客と契約を結ぶことができました。これで私たちのMRRは2倍になります…!
  • 孫正義氏が個人的に出資することを約束してくれました…!
  • アップル出身のハードウェア・エンジニアを採用することができました…!
  • 新たにリード投資家を申し出ているところが2社あります。御社と組みたいと思っていますが
  • スピード感をもって決断する必要があります。お急がせして申し訳ありませんが、来週までにご決断いただけますでしょうか?

いずれも、あなたが着実に前進していることを証明する新しい情報であり、速やかに決断をしなければ大きなチャンスを失ってしまうことを暗示しています。

資金調達を成功させるためには、事業のファンダメンタルとあなたのピッチが重要であることは明らかですが、実はその後のフォローアップもおそらく同じぐらい重要です。投資家が直ちに連絡をよこしてこないと、興味がなかったのかな、と起業家は思いがちですが、必ずしもそうであるとは限りません。日々の業務に追われて、単に忘れてしまっているか、そこまで手が回っていないだけかもしれません。そんな状況であなたがすべきなのは、自分が絶対に見過ごしてはならないチャンスであることを、相手に思い出してもらうことです。それを効果的に行えば、資金調達に成功する確率を高めることができます。

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Founding Partner & CEO @ Coral Capital

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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