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採用時のリファレンスチェックついて考えてみる

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「 Some Thoughts On Checking References」を翻訳したものです。


私たちのビジネスでは、リファレンスをとることは数多くあります。あるチームに投資を行う前には、必ずそのチームについて聞いて回っています。しかし、むしろ投資後に投資先企業のファウンダーや経営陣が組織づくりをする支援するときのほうが、より多く私たちはレファレンスチェックを行っています。ファウンダーや経営陣がアクセスできないリファレンス先に投資家がアクセスできることが、あるからです。そのため私たちは、独自のネットワークにアクセスし、問い合わせを行うことで、採用プロセスで大きな価値を付加できるのです。

リファレンスチェックの電話を30年以上行ってきたなかで私が学んだことは、内容自体よりも、どんな風に話しているかに注意を向けるということです。そして何を言わなかったに特に注意を払います。

私はまた、メールを送る代わりに電話をかけることを学びました。ほとんどの人は否定的な内容を文字にしたがりませんが、電話ではそういったことも話してくれます。相手が信頼できる人であれば、なおさらです。

事情を知っていて話すことに制限がない人と話すことも有効です。例えば、CEOであれば会社を退職させた人について否定的なことを言うのは気が進まないかもしれませんが、同僚であれば、そういったことも話してくれるかもしれません。もしくは同僚の親友であれば。

リファレンスチェックでは否定的なことを探り出すことが全てだと言いたいのではありません。その人の強みについても聞いてみるべきです。ほとんどの人は得意なこともあれば、あまり得意でないこともあります。リファレンスをとる上でもっとも大事なのは、長所と短所を把握し、その職務に適した人物であることを確めることです。

しかし私は、誰かを雇うときには否定的な意見を聞くことを非常に大事にしています。否定的なことが何も見つからないのであれば、それは私にとって危険信号です。ある状況ではマイナスなことでも、別の状況ではプラスになることがよくあるからです。

「会社が小さいときは、彼らはうまくやっていたが、会社が成長するにつれて迷走した」と言われれば、それは会社の発展のごく初期段階において、その人が力を発揮することを意味しています。そしてそれは大抵、会社の歴史の中で最も価値のある時期なのです。そのような環境で動ける人間を見つけることは容易ではありません。だから私は、人々のこうした話を聞くのは好きです。そのような人を、どこに導けばよいのか分かっているからです。

自分がよく知っている人が作ったリストでない限り、他の誰かが作ったリストにある人物に連絡をしてリファレンスをとるのは好きではありません。私が代わりにするのは、自分がよく知っている人で、対象人物についてよく知っている、もしくは対象人物に近い人を知っている人を見つけだすことです。そしてその後は、電話して連絡を取ります。これは手間はかかりますが、はるかに良い結果につながります。

私はまた、グループにリファレンスをとらせることを大事にしています。特定の状況に対して、さまざまな角度からアタックすることには価値があります。また複数の人が集まれば、親密な関係でつながった、より大きなネットワークを利用することができます。

私はチェックリスト形式の質問を使ったリファレンスチェックは好きではありません。電話の向こう側の相手が、質問のリストを読み上げているといった状況に遭遇することがあります。これはリファレンスチェックを行うには奇妙な方法だと思います。自然なやり方で問題の本質を掘り下げることができる会話のほうが、ずっとうまくいくと思います。少なくとも私にとってはそうです。

最後に、その人についてよく理解し、職務に相応しいか真剣に検討する段階になるまで、リファレンスをとるのを待つべきだと私は思います。その人や、その人の職務への適性に関して情報が増えるほど、リファレンスチェックの電話はより有益なものとなります。かといって、あまり長く待ちすぎないほうがいいでしょう。候補者に大きな危険信号がある場合は、採用プロセスに自分や相手の時間が多く費やされる前に知っておいたほうがいいでしょう。

リファレンスチェックは科学というよりアートです。チームの中や、周囲(役員会、顧問、投資家グループ)にリファレンスをとるのが得意な人たちを置いておけば、非常に役立つことがあります。そして、その人たちに声をかけ、採用プロセスを手伝ってもらうことを忘れないようにしましょう。それによって、きわめて大きな違いが生まれることがあるのです。

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Editorial Team / 編集部

Coral Capital

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