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取り組んでも仕方のないことは、いくら正しくやっても意味がない

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「What To Work On」を翻訳したものです。


私のパートナーのBrad(ブラッド)はよく、「何かを正しいやり方ですること」と「正しいことをすること」の違いについて良く聞きます。彼は、「何かを正しいやり方ですること」はできていても「正しいことをすること」ができていない人や企業が多いと考えていました。私も完全に同意見です。さらにこの見方をベースに踏み込んで言うと、私が見てきた例では、実は「正しいことを間違ったやり方ですること」で実際重要な成功に結びつけられることはあるものの、「間違ったことを正しいやり方ですること」ではそのような結果にならないことがほとんどであると言えます。

そのため、「自分は何に取り組むべきか」という問いが生まれるわけです。

まず言えることとして、私たちは全員、自分に関心があるプロジェクト、それも自分には他者にはない洞察がある分野で、自分自身や他者のモチベーションを上げてインスピレーションの源になるようなプロジェクトに取り組むべきだと考えています。

また同時に、上記の条件に合うプロジェクトに取り組むというのは必要最低限の条件であり、それだけで十分というわけでもないと思います。

上記の条件に加えて、大きなインパクトを作り出し得るものに取り組むべきだ、というのが必須だと私は考えています。べンチャーキャピタリストの私が言っていることですので、「大きなインパクトを作り出し得る」とはつまり「たくさんお金儲けができる」ということだろうと考える人も多いでしょう。しかし、私が言いたいのはそういうことではありません。確かにインパクトはお金で測ることもできますが、製品やサービスを使う人の人数で測ることもできます。人々の考え方をどれほど変えられるかだったり、あなたの製品やサービスなどイノベーションに対して、人々がどのように反応するかで測ることもできます。仮にTeslaが企業として失敗しても(私はそうはならないとは思いますが)、Teslaは自動車業界のあり方を永遠に変えました。これもインパクトの1つの例です。

それから3つ目にとても大事なこととして、問題をどのように解決するのか、どのように市場に進出していくのか、どのようにお金を儲けるのか(つまりビジネスモデル)、そして自分が市場で占める位置や自分の事業をどのように守るのか、が挙げられます。しばしば、ここが命運の分かれ目になります。例えば、動画を使って若者に教育を施して著しく学習成果を向上させられるような洞察があるとしましょう。その技術を既存の学校制度に届けるような事業を組み立てることもできます。しかし、既存の学校制度を介さずに、直接生徒にアプローチするような事業を組み立てることもできます。これらは全く異なる「市場進出」戦略で、ビジネスモデルも全く異なってくることが想定されますし、結果的に長期的に見て市場で占める位置も全く異なるものになるでしょう。他でもなく「どのようにすべきか」というところでの選択こそ、究極的には事業を定義づけるものとなるので、ここで正しい選択をすることは極めて重要です。

起業家からよく、何に取り組むべきかアドバイスを求められます。私は、何に取り組むべきかは言えないと伝えます。自分で見出したものに取り組むべきであって、それは他人が与えられるものではないのです。

しかし、その枠組みを伝えることはできます。なぜなら、どこに投資するかという判断は、何に取り組むべきかという判断とよく似ているからです。前者はお金(と時間)を注ぎ込むことです。後者は時間と自分自身を注ぎ込むことです。つまり後者ではもっと多くのものを注ぎ込まなければならず、リスクも格段と高くなります。しかし、枠組みは似ています。

自分や他者にインスピレーションを与えられるものに取り組まなければなりません。大きなインパクトがあるものに取り組まなければなりません。そして、ゴールを見据えて、そこに可能な限り簡単に到達できるような方法、そして到達したらそこに可能な限り長くとどまれるような方法で取り組まなければなりません。

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Editorial Team / 編集部

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