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どのタイミングで事業会社から資金調達するべきか?

ここ数週間にわたって、事業会社/CVCから資金調達することに関するトピックをいくつか取り上げました。例えば、事業会社の投資体制の違いや、資金調達の目的がシナジーである場合、あるいは信用力の獲得競争の排除が目的である場合に考慮するべきことについて書きました。もう1つ、起業家たちが悩むポイントに「タイミング」があります。過去の記事で取り上げた他の要素を十分に検討し、資金調達するべきだと判断したなら、次はそれを「いつ」実行するべきか考える必要があります。実際の状況は個々の案件によって異なるので、明確な答えやルールを示すことはできません。しかし、以下のポイントについて検討すれば、自分たちにとって何が正しいか決める上で役立つかもしれません。

自分たちに協業に割く時間や余裕はあるか?

起業してまだ間もない段階で、事業会社/CVCから資金調達しようと考えるスタートアップも多く、中にはプロダクト・マーケット・フィットどころか、まだローンチすらしていないようなケースもあります。このような資金調達は事業会社とのシナジーを求める場合には特に課題が出てくることがあります。グロービス・キャピタル・パートナーズの野本遼平さんが最近の記事で説明しているように、アーリーステージのスタートアップには、大きな組織と意味のある協業を進めるための経営資源がまだないことが多いです。人数も少なく、運営体制も不安定であるため、結果的に、自分たちの事業の基盤づくりよりも、相手の事業会社のニーズを中心としたビジネスになってしまいかねません。その上、アーリーステージのスタートアップはプロダクトの開発やオペレーションにおいてまだ試行錯誤の段階で、スケーラブルかつ再現性のあるビジネスモデルを模索している最中です。そんなあまりにも早い段階から、提携先の事業会社を中心にビジネスを回してしまうと、マーケットの需要ではなく、その事業会社のニーズに応えるためにプロダクトを開発するようになってしまう傾向があります。

そのため、もっとレイターステージに進んでから提携したほうが、事業会社にとってもスタートアップにとっても良い結果になることが多いです。プロダクトが軌道に乗り始め、経営もしっかりとしてくる上に、人員や資金も増えているため、事業会社と協働する余裕ができてくるからです。

今回のラウンドで調達するべきか?

表立って話題に上ることは少ないですが、「評価額を比較的気にしない」、「追加投資を行わない」という事業会社/CVCの2つの傾向についても考慮したほうがいいでしょう。多くの事業会社/CVCは、経済的リターンよりも戦略的リターンを重視します。そのため、レイターステージで評価額が高くなっているからといって、投資の選択肢から外すということも比較的少ないようです。レイターステージのほうが事業会社と提携するための基盤が整っているので、むしろ好まれるかもしれません。一方で、独立系ベンチャーキャピタルは経済的リターンを重視するので、よほど爆発的な成長でもしていないかぎり、評価額が高くなると投資に消極的になります。

また、追加投資については、事業会社/CVCからすればインセンティブに欠けるため、行なわれないことが多いです。事業会社が投資する目的は提携を実現することです。つまり、持ち分を増やして将来的に買収しようと考えているのでなければ、追加投資することにあまりメリットはないのです。この点では、既存投資先への追加投資のためという明確な使途で資金を用意している多くの独立系VCと明らかに異なります。そのため、事業会社に資金を入れてもらうならレイターステージの大型調達で最初から大口で出してもらう方が多く集められるかもしれません。

なぜこの2点について取り上げたかというと、スタートアップの資金調達の戦略に大きく影響してくるからです。起業家は、どこから資金調達が可能で、どの成長ステージで、その資金提供者にアクセスできるようになるのか、あらゆる可能性について考えておく必要があります。大まかに言えば、独立系VCは、評価額が高くなったスタートアップへの投資に対しては急成長していない限りはあまり意欲的ではないことが多いです。

選択肢はあるか?

スタートアップというのは浮き沈みが激しいものです。何年も勢い良く成長し、順調に資金調達できていたとしても、予想外の失速に見舞われることがあります。勢いが衰えたことで、資金調達の選択肢も大幅に減り、事業会社との提携以外にほとんど選択肢が残されていないような状況になる可能性もあります。そんな中、資金を確保するために、事業会社/CVCに提携を持ちかけるプランを考え出す必要が出てくるかもしれません。スタートアップにとっては必ずしも望ましい状況とは言えませんが、生き延びて、再び成長軌道に乗せるための手段の1つではあります。


資金調達の際に考慮するべき変数は非常に多い上に、それぞれをより大きな枠組みの一部として捉えて考える必要があります。スタートアップにも事業会社/CVCにも、様々なタイプがあります。信用力を高めるために、早い段階で事業会社/CVCから資金調達したいと考えるスタートアップもあれば、主に経済的なリターンを求めて投資する事業会社/CVCもあります。例外もあり、様々な要素が加わってくるので、起業家にとって判断に迷うこともあるでしょう。この記事のシリーズが、そんな複雑さを少しでも解消する手助けになれば幸いです。

CVCエクイティファイナンスベンチャーエコシステムベンチャーキャピタル事業会社からの資金調達
James Riney

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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