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Netflix創業者の新著「No Rules」から学ぶ企業文化の3つの指針

Netflix創業者のReed Hastingsが新しい著書「No Rules」を出版したことをご存知でしょうか。9月に発売されたのを私も買ったのですが、先日ようやく読み終えました。Netflixの価値観やミッションについてはカルチャーデック(culture deck)という彼らの有名なスライド集で最初に知ったのですが、今回の本でもやはりNetflix独自の視点からは学ぶところが多く、とても興味深く思います。ちなみに、Netflixのカルチャーデックは2009年に公表されて以来、世界中で2,000万回近く閲覧されています。テック界の企業文化にインスピレーション与えてきた伝説的なものと言えるでしょう。

ですからHastings氏の新しい本が発売されたときも、すぐさま購入しました。ちょうどその日本語版が今週の木曜日に発売されるので、皆様にもぜひおすすめしたいです。そこで、今回の記事では「No Rules」から学べる重要なポイントについていくつか紹介したいと思います。

「ファミリー」ではなく「スポーツチーム」を作る

昔はほとんどのビジネスが家族経営で、世襲で引き継がれていました。そうした経緯から、企業文化のことを「ファミリー」と表現し、安心して働ける職場環境や会社への忠誠などを大事にする価値観が多くの業界で自然と広く受け入れられてきました。ファミリー文化の企業では一体感やお互いへの責任感を長期にわたって育むことができます。もちろん、これは同時に、身内への評価が甘くなってしまうということでもあります。足を引っ張っている社員がいたとしても、「家族」なら見放すことができないのです。

その点、スポーツチームでは常に最高のパフォーマンスを追求しているので、そういった甘さはありません。トッププレイヤーを上手く取りまとめ、互いに切磋琢磨することでチームを最高の結果へと導かなければなりません。責任感や連帯感、仲間意識も当然重要ですが、どれも「勝つ」という最終的な目的と引き換えになるものではありません。プレイヤー自身も、それぞれがチームに欠かせないポジションについていることを理解しているので、チームとして勝つためにお互いに対して高いパフォーマンスを求めます。もし結果を出せていないプレイヤーがいれば、他の誰かにそのポジションを取って代わられることでしょう。

これに関連して、本書では「タレントの密度」というテーマが繰り返し強調されています。トップレベルのパフォーマンスを叩き出せるような「タレント」は、やはり同じくらい優秀な人たちと働きたいと思うものなので、経営者は何よりもまずエース級の人材ばかりを職場に揃えることを優先するべきだという考え方です。Netflixでは実際、「普通の結果を出す人には、報酬として十分な解雇手当を」などと言われているそうです。

業界最高水準の報酬を与える

スポーツチームと同じように、企業でもやはり高い報酬を与えているところのほうが高いタレント密度を作り出すことに成功しています。Netflixでは、クリエイティブ系のポジションなどに対して業界最高水準の給与を支払うことを主義としています。業界トップレベルの人材は平均的な人材と比べて軽く10倍以上の成果を出せるというのが彼らの考えです。採用担当者としては、「その給料で3人分雇えるじゃないか」と考えてしまうかもしれませんが、必ずしも多ければ多いほどいいとは限らないのです。

本書でもこのように説明しています。「平凡な成果しか出せない社員を管理するほうが労力も時間もかかる。小規模な組織と無駄のないチーム構成であれば、各マネージャーに任される社員の数が減り、より効果的に管理できるようになる。このような無駄のないチームにトップレベルの社員ばかりを集めれば、マネージャーのパフォーマンスが上がることから始まって、他の社員たちも能力をより発揮できるようになり、結果的にチーム全体の生産性や効率が上がる」。

業界最高水準の給料を保証するために、Netflixでは少し変わった取り組みを行っています。なんと、他社の類似ポジションで支払われている給料を知るために、リクルーターと面談したり、他社の採用面接を受けたりすることを社員に推奨しているのです。そして、他社からオファーされた給料のほうが高かった場合には、それに合わせて給料が上げられるそうです(もちろん、社内で非常に高く評価されている社員に限ります)。リクルーターから電話が来たら、「断る前に『いくらで?』と聞くべき」というのがNetflix流です。

無限有給休暇、自己裁量で使える経費、そして自由を与える

Netflixが大事にしているもう1つのテーマが「自由と責任(Freedom & Responsibility/F&R)」です。本当に業界トップレベルの人材ばかりが揃っているなら、自分自身を「管理」して適切に判断する能力も高いはずなので、もはや企業として管理する必要がないという考えに基づいた理念です。

この理念はNetflixの無限有給休暇制度や経費規定にも反映されています。Netflixの社員はいつでも、いくらでも休暇を取ることができます。それどころか、充分に休んで心がリラックスしているときのほうが良いアイディアが浮かぶという考えから、積極的に休暇を取ることが推奨されています。また、Netflixには経費規定がありません。目標を達成するために会社の経費をいくら使うべきか、自ら合理的かつ適切に判断できると信用されているからです。

これらの自由がある一方で、もう1つのキーワードである「責任」についても徹底しています。例えば、プロジェクトをローンチする週に休暇を取る、個人的な旅行に会社の経費を流用するなど、明らかにまずい行動をとったことが判明すれば、その社員は即解雇されます。しかも、ただの解雇ではありません。他の社員への教訓となるよう、社内で大々的に通知されるのです。具体的には、解雇理由の細かな説明が全体メールで送信され、その前例から学ぶよう促されます。


Netflixの文化は非常にユニークです。あまりにも無秩序だ、容赦ない、過激すぎるなどと感じる人も多いでしょう。私も今回紹介した価値観の全てに強く賛同しているわけではありません。しかし、彼らの文化や価値観から学ぶことは多いのではないでしょうか。部分的に取り入れられそうな価値観も多く、特にスタートアップとの相性が良さそうです。実際、限られたリソースの中で事業を成功させなければ会社の存続すら危ういような企業では、パフォーマンスの最適化は合理的どころかむしろ必須であるはずです。私自身もこの本からたくさん学ぶことがありましたので、全ての起業家にぜひ一度は読んでみて欲しいです。

P.S. 私たちCoral Capitalは、これから1〜2年ほどかけてチームメンバーを増強する予定です。採用は慎重に行い、価値観や「タレントの密度」の点で本当にマッチしていると確信できた人だけを採用したいと考えています(つまり、なるべく早い段階からお互いを知る機会を作っていきたいと思います)。私たちとともに高いパフォーマンスを誇るグローバルファームを作り上げていきたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください

企業文化の構築経営
James Riney

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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