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元メルカリPRの中澤理香さんがCoral Capital広報アドバイザーに就任

急成長するスタートアップが必ず直面するPR課題を解決したい。

2020年3月末にメルカリを退職した元PRグループの中澤理香さんは、そう話します。中澤さんは、メルカリがまだ社員数120人程度だった2016年1月に「1人目のPR担当」として入社。メルカリの成長や上場とともに役割やチームが拡大する中で、2018年からはPRグループマネージャーとしてPR部の活動をリードしてきました。

中澤さんは立ち上げ期のスタートアップのPR担当から、月間利用者数1,600万人強に達するマーケットプレイスという社会の公器となった上場企業のPRグループのマネージャーまでを、わずか4年という短期間で経験した稀有な人材です。

大手企業に新卒入社で広報部に配属となる人や、スタートアップで広報を経験する人も多いでしょうが、その2つのステージが変わっていく中で経験と知見を蓄積したという人は多くないかもしれません。

その経験を活かして、かつてのメルカリが駆け抜けた急成長フェーズにあるスタートアップを支援したい。そうした思いから、現在中澤さんはいくつかのスタートアップに対してアドバイザーとして関わっています。その関わりのきっかけはメルカリ時代に一緒に働き、今は様々なスタートアップに活躍の場を移した人脈であることも多く、退職後も「メルカリ圏」に所属しているという肌感覚がある、と言います。メガベンチャーを「卒業」する人材が業界各所でネットワークを維持したまま活躍するケースが近年増えていて、「卒業生」を意味する英語の「アラムナイ」も重要なコミュニティーであると認識されるようになってきています。

Coral Capitalでは、その中澤さんに5月末からパートタイムの広報アドバイザーに就任いただき、約60社の投資先スタートアップ企業のPR活動の支援を開始していただきました。元々Coral Capitalでは、「資金調達」「人材採用」「広報」「起業家コミュニティー」「BizDev」の5つの軸で起業家・スタートアップの皆さまの支援をさせていただいていますが、中澤さんをチームに迎え入れたことで、さらに成長スタートアップへの支援を加速していきたいと考えています。

中澤理香(なかざわ・りか)さん。1988年生まれ。新卒でミクシィに入社し約3年間、アプリやECの新規事業に携わる。退社後、2014年よりYelp Japan2人目の正社員として東京エリアコミュニティマネージャーに就任し、イベント企画・運営、PRコミュニケーション等を通じてファンコミュニティを形成。2016年1月より、1人目のPRとしてメルカリに入社。サービスPR、コーポレートPR、危機管理、ファンコミュニティなど担当。2018年よりPRグループマネージャー。2020年4月からフリーランスとして、スタートアップのPRを中心に支援中。

社会の公器になっていく、ということ

中澤さんがメルカリで経験したPRの役割の変遷とは、どんなものだったのでしょうか?

「スタートアップが社会の公器として自覚し始めるタイミングがある」

中澤さんは、そう言います。中澤さんが入社した2016年といえば勢いのあるスタートアップとして、すでにメルカリは業界内で注目を集め始めていたころです。

「最初の1年はPRネタは数多くありました。当時84億円という資金調達はその規模から注目されましたし、産休・育休中の給与保障や妊活支援、病児保育費支援などスタートアップでも手厚い人事制度 ”merci box” の発表など、メディアにも多く取り上げていただいて、どんどんメジャーになっていく階段でした」

知名度が上がりつつあったとはいえ、それはまだ業界内でしかありませんでした。メディアに取り上げられるときもネット系メディアが中心。それが変わったきっかけは2つあったと言います。

「年末年始は1年の総括としてのメディア露出が多いものです。2016年の終わりには注目ベンチャーとしてランキングや特集に取り上げられたことで、IT業界だけでなく一般の方への認知も拡大し、明らかにステージが上がったなと感じていました。Googleトレンドで見ていても、それはハッキリ分かりました」

「もう1つフェーズが変わるきっかけとなったのは、2017年の4月頃に起きた、いわゆる現金出品問題でした。現金や入金ずみの交通ICカードなどを不正に出品する事例が相次いだのです。SNS等で批判的なコメントが相次ぎ注目を浴びたことから、ネット系メディアだけでなく、テレビや新聞など大手マスコミからも問い合わせが相次ぎ、電話が鳴り止まない状態に。初めての危機対応でした」

「当時のメルカリPRは大手マスコミとのメディアリレーションはまだ弱かったため、メディアの方からしても『最近名前をよく聞く、正体のわからないベンチャー』という存在に見えたのだと思います。問い合わせに対しては、1つ1つ、メルカリのミッションや仕組み、不正への対応など丁寧に説明はしていましたが、問い合わせ先が分かりづらいと電話口でお叱りを受けることもありました。その渦中で、自分たちは既にここまでの社会的影響力がある存在なのだとハッキリと自覚したんです」

また、メルカリのユーザー層は若年層や女性がメインであった一方で、世論形成に関わることが多い中高年層ではまだメルカリの利用者も少なく、「良く分からない・怪しいものだ」というイメージがつくられやすかった、とも言います。ネット企業全体に対する疑いの目というのもあったそうです。

ただ、急増した問い合わせに対して、丁寧に取り組みを説明をした結果、むしろ新聞記者やテレビ関係者からの理解も進み、後に良い取材を受けるきっかけともなったと言います。

「スタートアップがステージを変えていく際に、PRの役割として重要になるのが『認知転換』です。これは、自分たちがどう見られているかを自覚した上で、目指す姿へとパーセプション(認知)を変えていくことです。そのためには、ただ単に日頃の発信を増やしたりメディア露出を獲得するだけでなく、資金調達や事業提携、上場などの自社ニュースのあるタイミングや、オリンピック、コロナ禍など大きく社会が動き、注目の集まるタイミングでいかに認知転換を促すかということが大事です」

節目節目で認知転換を図っていくなかで大事な視点として中澤さんは「広報かつ広聴」が大切だとも指摘します。PRは社内のことを外部に伝えるものですが、逆に社外(社会)では何が関心を集めているのか、その中で自分たちの会社がどう見られているかを社内にフィードバックしていく役割が、会社の成長とともに重要になってくる、ということです。

その後もメルカリは成長して、2018年には上場し、2019年には金融業であるメルペイも開始。資本市場の投資家やメルペイ導入店舗、金融ライセンスの監督官庁などステークホルダーも多様化。PRグループもメルカリ(プロダクト)担当、コーポレート担当、メルペイ担当と3チーム制に移行したと言います。

スタートアップから上場企業へという急成長フェーズの中でPRを経験した中澤さんだからこそできる成長中スタートアップへの広報活動支援は、Coral Capitalの投資先企業にとっても、日本のスタートアップエコシステム全体にとっても、非常に有意義なものになることでしょう。

Welcome aboard, Rika!!

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Editorial Team / 編集部

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