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【Coral Seminarsパネル】先駆者たちが語るリモートワークの落とし穴とコツ

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、多くの企業がリモートワークに移行しています。リモートワークを円滑に進めるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。多くの企業がリモートワークに移行していくなかで、どのような課題が生じ、いかにして解決すべきか。Coral Capitalでは4月2日に記者向け勉強会「Coral Seminars」の一部で「リモートワークのTips」をテーマにオンラインでパネルディスカッションを行いました。

登壇したのはSlack Japanシニアテクノロジーストラテジストの溝口宗太郎氏、すむたす代表取締役の角高広氏、TRUSTDOCK代表取締役CEOの千葉孝浩氏。モデレーターは、Coral Capital創業パートナーCEOのJames Rineyと同パートナー兼編集長西村賢が務めました。

リモートワークの前提:データアクセスの権限管理

最初のお題は「リモートワークの課題」。課題を「会社・組織に起因する課題」と「家庭に起因する課題」のふたつに分け、「モノ」「ヒト」「プロセス」に関する事象として分類し、議論が進められました。

デジタル身分証アプリを運営するTRUSTDOCKの千葉さんは、セキュリティを整えることの重要性について述べます。「データにアクセスできる権限を明確にわけています。G Suiteでデータを管理していますが、閲覧権限・更新権限を含め、きちんと社内で定義しています。データの閲覧・更新権限などの整備は、リモートワークの環境整備の大前提です」

加えて、リモートワークを円滑に行う上では、社内での共通見解が共有されていることも重要だと力説します。「実際に、外部のエンジニアに業務委託をお願いするときは、オフィスに来ていただき、キャッチアップを行ってから、リモートワークに移行します。2週間くらい対面でオンボーディングを行えるとベストです」。

逆にオンボーディングの際に、すぐに相談できる相手がいない場合はリモートワークが機能しなくなる可能性が高くなるとも千葉さんは指摘しました。

続いて、すむたすの角さんは次のように語ります。「セキュリティーソフトは信頼できるものを導入し、全社員の端末に入れています。パスワード管理についても中央管理していて、実際のパスワードを知っているのは2名ほどです。『 LastPass』というツールを使っています」。

印鑑やサインが必要な仕事はどうする?

印鑑やサインが必要な仕事はどうするか? この問いに角さんが答えます。

「契約時や印鑑が必要な仕事の場合は、オフラインでせざるを得ないので、直接行っています」

Slackの溝口さんは、基本的に社内のワークフローはオンライン化が進んでいると話し、Slackのワークフロービルダーの承認ツールを活用していると話します。「紙の書類や印鑑がどうしても必要な場合は、申請フォームで申請をあげて、認証された時間にオフィスに行くようにしています。用が済んだらすぐ帰る。また、出社時間はラッシュアワーを必ず避けるようにとするガイダンスが出ています。

オンラインではツッコマレビリティが重要!?

リモートワークにはオンライン上でのコミュニケーションが欠かせません。オンラインツールを使う上で、どのような工夫をすれば良いのでしょうか? 参加者からの問いかけに、千葉さんが答えます。

「ツッコマレビリティ(ツッコミされやすい脇の甘さ)を用意すると、コミュニケーションのきっかけが生まれやすくなります。オンライン会議になると、雑談のきっかけが見つかりづらいので、ツッコマレビリティがあると良いと思います。例えば、Zoomだと、背景画像で遊んでみるのも手段の1つですね」

「オンライン会議中のメッセージは、フローな会話であればビデオ会議側のチャットで行って、ストックが必要な会話ではSlackを使うなどの工夫をすると良いと思います。ちなみに、フルリモートになってから、弊社のSlackでもワークフローを試しています。午前10時前に、オンライン朝会のための招待が自動投稿されるように設定しています」

失われる「チーム感」への対応

リモートワークで1つの「チーム感」を作るためには、どのような工夫が必要なのでしょうか? モデレーターを務めたCoral CapitalのJames Raineyの問いかけに対して、創業時からリモートワークを導入しているすむたすの角さんが、自社の取り組みを紹介します。

「すむたすは、15名のチームです。その内2名がカナダと静岡でフルリモート。残りの13名は、それぞれが必要なタイミングでリモートワークをしていました。常に全員がリモートワークをしても問題がないように、チーム単位で毎日朝会と夕会を設定しています。今は、全員がフルリモートなので朝会と夕会をオンラインに置き換えている状況です。元々、出退勤の時間が人によって違うので、『就業中は基本的にカメラはずっとONにして、離席中はOFFにする』という仕組みを取り入れています」

Slackでは昼食の時間にZoomを繋げながら雑談する時間をもうけていると溝口さんは話します。

オンラインでのコミュニケーションの工夫についても次のように述べます。「アイスブレイクの時間を長めにとるようにしています。例えば、先日はサンフランシスコのチームと会議だったのですが、その時は、会議のはじめにそれぞれがチームメンバーの似顔絵を書いて話すところからはじまりました」

「ONとOFF」をどう切り替えるか?

家で働く場合、子どもがミーティング中に部屋に入ってくることもあります。子どもがいる場合、どのような工夫をしているのでしょうか? モデレーターを務めたCoral Capital西村の問いかけに対し、角さんが答えます。

「子どもが声を出したり、画面に入ってくることはどうしようもできないことです。私も2歳の娘がいますし、弊社のメンバーの半数以上が子持ちです。解決策というより心構えなのですが、そういったことに対してチームとして、当然のこととして受け入れるようにしています。社内のメンバーが許容することによって、リモートワークが成立するとも言えます」

家庭内の背景音を消すノイズキャンセルアプリとして「Krisp(クリスプ)」がおすすめだ、という話も出ました。

また、1日中家にいると、働くモチベーションの維持には工夫が求められます。仕事モードに切り替える工夫としては、「駅まで10分ほどの散歩をする」「襟付きの服を着る」「壁に自分を律するメッセージを貼る」「仕事モードに切り替えるためのルーティンをつくる」などの工夫が挙げられました。

続けて、プライベートと仕事の切り替えについてどのような工夫をしているのか?という議論に移行。Slackの溝口さんは次のように述べます。

「先日、日経新聞のインタビューで弊社のCEOが『9時から17時という働き方にこだわらないことが大事』というメッセージを述べていました。ワークとライフが混在するリモートワークでは、労働時間を厳しく決めるのではなく、メンバー同士で目標を共有した上で『1週間の中でも1日は3、4時間は集中して働き、家族の時間に費やしてもいい』という働き方をする日があっても良いと思います」

これまでの常識にとらわれず、新たな働き方を作っていくべきだと語り、マネージャーが時間で部下を管理するマネジメントから、部下を信頼するマネジメントへの転換が求められているとも述べます。

リモートワークならではの良さも

リモートワークには良い面もあります。溝口さんは、こう語ります。

「まず、自分の仕事に集中できること。リモートワークだと、資料の作成などの仕事の場合だとSlackの通知などを切って、集中して働けます。一個人としての生産性が大きく上がります。そして、『堂々と昼寝ができること』もメリットです(笑)。昼食後に、30分未満の昼寝をすることで午後の生産効率がすごく高まります」

リモート中心のワークフローにシフトしたことで生まれたメリットについても述べました。

「弊社のCSは、元々お客様先に直接お伺いしていたのですが、オンラインでも過不足なく説明できることが全社的にもわかりました。この気づきから、今まで移動に使っていた時間を別の業務に当てられる可能性を見つけられたのも良かった点の1つですね」

続けて、千葉さんもオンライン商談のメリットについて語ります。「オンラインで商談すると、自分がどのような表情で相手と話しているのか振り返ることができます。おかげで、相手の話を聞いているときの自分の表情を意識するようになったのも良い点だと思います」。商談の様子を録画して後から見直すこともできるというメリットについても話し、これは新入社員の研修にも活用できるかもしれない、という指摘もありました。

リモートワークでなければ不可能なことについても角さんから意見が出ました。「リモートワークを導入することによって、どこに住んでいる人とも一緒に働ける可能性が生まれます。弊社では、カナダ在住のエンジニアがチームの一員ですが、そうしたチームづくりができているのもオンラインで仕事ができる環境があるからです」。

「オンラインが良いか、オフラインが良いかという議論よりも、オンライン・オフラインを選択できるかどうか、が大事だと思っています。デスクワークはオンライン、契約に関する仕事だったら時間を決めてオフラインというように、選択肢を用意していれば、幸せな働き方に繋がると思っています」

対面で感じる空気に勝るコミュニケーションはないが、工夫次第では企業として、オンラインの生産性をあげられるという角さん。オンラインとオフラインのどちらが生産性を上げられるかを考えることが大切だと指摘します。

オフラインの重要性から原則的に「オフライン推奨」だというSlackの溝口さんは、最後に以下のように述べてパネルディスカッションを締めくくりました。

「弊社も原則オフライン推奨です。オフィスに集まって働けば、仲間と何気なく会話し、そこから新しいビジネスやイノベーションに繋がるアイディアが生まれる可能性があります。しかし、このような(リモート中心にせざるを得ない)状況でもビジネスが発展していくよう、ナレッジを共有する仕組みをつくりあげていきたいですね」

(構成・馬本寛子)

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