「Omakase(おまかせ)」は、いまや世界でも通じる言葉になりました。シェフがすべてを決め、あとは委ねるだけ。今回から、私が尊敬する人物と東京でおまかせをいただきながら対談するシリーズを始めます。会話の行き先はあえて決めていません。
初回のゲストはScott Nolanです。彼はSpaceXの約30人目の社員として入社し、MerlinエンジンシステムやDragonカプセルの開発に携わりました。その後、Founders Fundで10年以上にわたり、Anduril、Radiant、Crusoe Energyといった企業に投資してきました。そして2023年、アメリカの核燃料の供給ギャップを解決する企業を1年かけて探したものの見つからず、自ら起業しました。それがGeneral Matterです。
Scottと私は長年の知り合いです。Founders Fundは、私たちがまだ小さなチームで、日本に対して大きな仮説を持っていた頃に、Coral CapitalのLPとして最初に手を挙げてくれた一社でした。だから彼が何を作っているかを話してくれたとき、私は真剣に耳を傾けました。そしてサプライチェーンの話を聞くうちに、これはアメリカだけの問題ではなく、日本の問題でもあると気づいたのです。
アメリカはかつて、世界のウラン濃縮の86%を担っていました。しかし現在では、その数字はほぼゼロにまで落ち込みました。国内最後の濃縮施設はケンタッキー州パデューカにありましたが、2013年に閉鎖されました。ロシアがその空白を埋め、現在は約50%を占めています。残りはヨーロッパが担っています。そして中国は急速に拡大しており、今後10年で世界シェア30%に達すると予測されています。
ここで日本に目を向けてみましょう。2011年の震災後、日本は50基すべての原子炉を停止しました。現在は14〜15基が再稼働し、電源構成の約8〜9%を占めています。政府は2030年までにこれを20%まで引き上げる目標を掲げています。日本は現在、濃縮ウランのほぼすべてをフランスや欧州のコンソーシアムから輸入しています。ウクライナ戦争以降、ロシアからの輸入は完全に停止しました。つまり日本は再び、重要なエネルギー資源を単一地域に依存する構造に戻っています。
この構図には、見覚えがあるはずです。エネルギー供給を単一地域に依存する構造は、1941年のアメリカ依存、1970年代の中東依存と繰り返されてきました。そして現在、ホルムズ海峡が脅かされる中、日本の石油輸入の70%がリスクにさらされています。エネルギー安全保障は、抽象的な概念ではありません。日本経済はこれまで何度も、その現実を突きつけられてきました。
だからこそ、General Matterは日本にとって無視できない存在です。
2026年1月、General Matterは米国エネルギー省から、次世代原子炉に必要な燃料であるHALEU(高純度低濃縮ウラン)を生産するための、9億ドル(約1,429億円)規模のマイルストーン契約を獲得しました。そしてこの対話の直前には、今後10年間にわたり日本の電力会社が米国産濃縮ウランを購入するための資金として、米国輸出入銀行から24億ドル(約3,810億円)の関心表明(Letter of Interest)を受けたことを発表しました。この合意は東京で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚会合で発表されました。
ScottはGeneral Matterの最初の施設を、アメリカが最後にウラン濃縮を行ったパデューカの跡地に建設しています。チームはSpaceX、Tesla、Anduril、国立研究所、そして原子力産業の出身者で構成されています。ピーター・ティールも取締役として参加していますが、彼が取締役に加わることは、極めて稀です。
今回のエピソードでは、以下の点について話しています
- なぜ核燃料が世界のエネルギー需要における重大なボトルネックなのか。とりわけアメリカと日本にとって
- なぜアメリカはウラン濃縮能力を失ったのか
- なぜSpaceXの手法がウラン濃縮に応用できるのか
- 日本がGeneral Matterのサプライチェーンにどのように関わるのか(双方向で)
- 今後5年間の展望
Scottが取り組んでいるのは極めて重要な事業です。そしてそれはアメリカにとってだけではありません。エネルギー自給率が約10%であり、サプライチェーン依存によって何度もその代償を払ってきた日本のような国にとって、これは、この10年で最も重要なエネルギー分野のパートナーシップになりうると考えています。
フルエピソードはSpotify、Apple、YouTubeでお聴きいただけます。
